クライアント様 / 50代女性,30年以上続く重度の片頭痛で薬を服用

イギリスに住まれていた際にオステオパシーを受けられ、

お子さんを出産した後もイギリスでオステオパシーに通われていた方で、片頭痛は20代より続く。

 

症状

片頭痛のため1ヶ月に3−4回薬を服用している

これは疲れた時や閃輝暗点、肩のコリなど症状が出そうな時に先に服用している回数も含まれている。

自分が自分でないような状態とのこと

 

検査

上部胸椎、第一胸椎と第二胸椎に制限があることで胸郭入口に制限ができ、リンパや静脈の排液に支障をきたし鬱滞を起こしている状態にあった。これはホースの先が捻れてその先に水が流れなくなることを考えていただくとわかりやすいのですが、胸郭入口には静脈角、リンパ本管、胸管など排液の元がありここが捻じれることでスペースが狭くなり頭部からの排液がうまく流れていかない状態になっていました。

骨盤部にも左右の寛骨に捩れがありました。

頭蓋を検査してみると、頭蓋骨は15種類23個の骨が組み合わさってできているですが、

蝶形骨と後頭骨に強い制限があり、脳と脊髄を覆う硬膜にも制限がありました。

長い期間、偏頭痛の薬を服用していたせいか組織がバラバラで統合されていないようにも感じた。

 

施術

偏頭痛は頭蓋内の血管が拡張することで痛みが増すことが多いためまずは、

胸郭入口の第7頚椎、第1、2胸椎の調整、頭蓋骨の調整、ヴィーナスサイナスでの排液

リンパ管の鬱滞の解消、骨盤部への施術

 

考察

1週間後に再予約されご来院。この1週間は薬を飲まなかったとのこと。

これは私にとっては凄いことなんですと言われており、自分の身体の変化に驚かれていた様子でした。

2回目以降も胸郭入口の解放と、頭蓋の調整、全体の調整として腰椎や骨盤部への調整を行う。

5回目までは10日前後でご来院していただき全体と部分の調整を繰り返す。

お薬の服用回数も月に1回程度と減ってきたのと、少しづつ落ち着いてきたので、月に1回への施術へ切り替える。8回目の施術後に薬の服用が1ヶ月間全くなったとのご報告があった。

 

 

片頭痛の病態整理は今だに解明されていないことが多いのだが、

神経系と血管系の異常反応であるとされていて、血管説、神経説、三叉神経血管説が有力である。

頭蓋内の血管には三叉神経の神経終末(硬膜枝)が網のように周囲を取り囲むように存在していて、

光や音、臭い、天候の変化やストレスにより三叉神経から血管作動生物質(サブスタンスP)などが分泌されることで血管が拡張し、三叉神経が刺激されるという説や、長時間に及ぶ情動や緊張が動脈の反射性血管攣縮を引き起し虚血を起こすことで血管内の平滑筋が強い収縮疲労を起こし、血圧が血管を押し上げ強く拍動するなど様々な説がある。

 

今回は循環という点に重点を置き施術プランを組んだ。

循環が正常であるところに病態を作り上げることはできず、胸郭入口を解放し滞っている循環をスムーズにすることをまず試みた。その結果2回目に施術時には薬を服用せずに来院されたため、薬を飲まなくても生活できるメリットや、薬を脱することは可能であると希望をご説明した。

人には目標が必要であり、希望を持っていただきクライアント様をサポートして行くことも重要である。

施術も勿論であるが、心理的な側面でのサポートもできたことも効果的に作用したように感じている。