神経線維と促通②

神経回路にはゲートコントロール理論という痛みをコントロールしている経路がある。

 

これに関わっているのが介在ニューロンである

大きな神経線維は介在ニューロンを興奮させることができ、

小さな神経線維は介在ニューロンを抑制させている。

 

興奮と抑制のバランスが取れている状態が正常で静かな状態である。

 

小さな線維のAδとC線維が痛みを伝えているのだが、

痛みの強度は侵害受容として中枢へと伝達する細胞への興奮性と抑制性のバランスによって決定している。

小さな線維から痛みの入力を受け取り、大きな線維から介在ニューロンを介して抑制され閾値の低いものは信号が下げられ、抑制される。

 

例えば

肘を机の角にぶつけたとする。痛みが発生し痛い場所を反対の手で撫でることで、痛みを和らげようとする。

これは、ぶつけたことで小さな線維から痛みの信号が中枢へと伝わるが、大きな神経線維の触覚、圧覚は小さな線維より早い信号であることと、介在ニューロンを興奮させることで、小さな神経線維からの信号を抑制することで、痛みを軽減させようとする行動である。

痛いの痛いの飛んでいけは間違っていないわけである。

 

 

体性神経系には大きな神経線維と小さな神経線維がある。

 

もう一つ内臓神経系がある

これは交感神経と副交感神経とで成り立っていて、どちらも小さな神経線維しか持っていない。

小さな神経線維しかないということは、知覚は痛みとして感じることになる。

 

例えば大きな神経線維が内臓にあれば、食べた食物が食道や消化器官を通るたびにその状態を常に感じていることになってしまうが、我々の身体は幸いなことにその様に出来ておらず、小さな線維によって常にゆっくりと監視されている状態にある。

 

この神経の末梢側突起は内臓と体性と2つの突起に分かれ2重の軸索を出している。

例えば、心臓からのインパルスが上行する。信号は軸索上を上行も下行もすることができるため、

心臓からの信号が上肢の末梢へのインパルスを活性化させてしまい、上肢へ行く末梢突起から神経ペプチドを放出し上肢に腫脹や炎症などの症状が起こる。

脊髄にとっては2つの入力がどちらからの入力かは判断できず、内臓からの刺激が体性を刺激することが起こってくるのである。これには収束ということが関係してくる。

 

体性からの信号が脊髄での収束する受容野は小さいので、狭い範囲の疼痛として現れる。

内臓からの信号が脊髄で収束する受容野は内臓のみの受容野は存在せず、体性の受容野と一緒に収束しているため、大きなサイズとなり、ジワーと広い範囲で痛みが現れることになる。

 

もう一つ痛みを抑制するシステムとして

エンドロフィン→ セロトニン→ エンケファリンの経路がある

 

中脳水道を取り囲む中心灰白質から、エンドロフィンが放出され、それにより延髄にある縫線核からセロトニン放出、セロトニンは脊髄を下行し介在ニューロンに作用することで、エンケファリンの放出を促す。

このエンケファリンは小さな神経線維からの信号をブロックすることができる。

 

 

③次回へと続く